私達は結婚したのでもう手遅れです!
自分が生んだ息子のこともどうだっていいの?
弟は行きたかった大学も諦めて修行をしているのに。

「失礼」

冬悟さんが前に出た。
外見の美しさだけじゃなく、威圧感がある。
たった一言で全員が冬悟さんが持つその雰囲気に飲まれてしまった。

「君はいったい……」

「嶋倉建設の社長をしております、嶋倉冬悟です」

上品な紳士の皮をかぶり、にっこりと微笑むと親戚のおばさん達は一瞬で魅了されてしまった。
だ、騙されてる!

「お金は私が用立てました。なぜなら、他人ではなく身内のことだったので」

父も親戚も『どういうことだ?』という顔をして静まり返った。

「私達は結婚したので羽花さんは私の妻です。妻の実家が大変な時に協力したいと思うのは当然のことではないでしょうか」

「結婚!?」

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