私達は結婚したのでもう手遅れです!
衣兎おばさんが酒で酔い潰してやると言わんばかりに日本酒の一升瓶やビール瓶をがちゃがちゃさせながら、大量に運んできた。

「さあさあ!飲んでくださーい!」

なれたもので、衣兎おばさんはあっという間に重苦しい雰囲気から宴会の雰囲気へと場の空気を変えた。
冬悟さんは一番上座に座らされ、親戚達からの質問によどみなく答え、お酒をすすめられても嫌な顔をせず、飲み干して場に溶け込んでしまっていた。
私はといえば、お酒も料理を出し終えるとやることがなく、百花と二人で部屋のすみっこでぽつんと座っていた。
主役のはずなのに……

「お姉ちゃん、結婚して本当によかったの?」

「う、うん、まあ。急すぎて驚いたけど、冬悟さんのことは嫌いじゃないし」

「私、三千万円でお姉ちゃんが買われたようにしか思えない」

「え?」

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