私達は結婚したのでもう手遅れです!
冬悟さんの素敵な姿を朝からごちそうさまでしたと心の中でつぶやいた。
フライパンを手にした私を見て冬悟さんが言った。

「羽花。食事はデリバリーでいいぞ。朝食もマンションの一階で食べれるから食べに行こう」

「体に悪いからだめです」

あっさりその申し出を断った。
断られた冬悟さんはなんとも言えない顔をしていた。

「私達はもう恋人関係じゃありませんよね?」

「そうだな」

「そうです。私の地位は恋人から妻にグレードアップしたんです。となると、これから冬悟さんの体は一人だけのものじゃないってことです」

「あのな……。ちゃんと意味をわかって言っているのか?」

「当然です。夫婦は一心同体、運命共同体!」

冬悟さんは額に手を当てて困惑している。
どうしてだろう。

「わかった。ちょっと待ってろ」

「はい?」

冬悟さんは一瞬だけ姿を消すとすぐに戻ってきた。

「目を閉じて」

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