私達は結婚したのでもう手遅れです!
顔を見せてはくれなかったけど、私と冬悟さんの指には同じ指輪がある。
それがとてつもなく嬉しい。
えへへっと奇妙な笑い声をあげてしまっても仕方ないというものだ。

「新妻らしく朝ごはん作ろう!」

ノリノリで朝食の準備にとりかかった。
昨日の夜、ちゃんと朝食のためにご飯のスイッチはいれておいたし、下ごしらえだってしておいた。
煮干しだしがよくとれた味噌汁を作るんだから!
煮干しの頭をちぎっておいたのを水の中にポチャンといれた。
そして、火をつける。
お弁当箱を二つ並べてちょっと考えた。

「冬悟さん。私、今日もお留守番ですか」

「ああ」

カフスボタンを留めながら、冬悟さんは返事をした。
その姿を眺めながら、そのしぐさ、とても素敵ですと心の中で付け加えて。

「明日も?」

「そうだ」

「……退屈です」

「我慢しろ」

ううっ……取り付くシマもないとはこのことだ。
譲歩すらない。

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