私達は結婚したのでもう手遅れです！

それにあの一瞬だけ見えた照れた顔は本物だった。
思い出すだけで、私の方が恥ずかしくなってしまう。

「す、好きならいいかな」

うん、そうよね。
徐々にお互いを知っていけば、いいんだからっ！
私は冬悟さんが好き。
冬悟さんも私を好きだと言ってくれている。
それで今は十分だ。
私なりの答えは出たと思う。
白いもち米をあんこで包んでいく。
出来上がったお握りくらいの大きさのぼた餅を重箱に並べていく。

「おいしそうにできたなぁ」

三月のお彼岸に合わせてつくったぼた餅。
和菓子が好きな冬悟さんだから、きっと喜んでくれる。

「でも、大量に作っちゃった……」

考える時間が欲しくて分量を多めにしたせいで重箱二つ分もある。
二人しかいないのに。
一人一箱？
あんこは好きだけど、さすがに無理……
タヌキからブタになっちゃうよ。

「困ったなぁ」