私達は結婚したのでもう手遅れです!
そんなことを思っていると、ピンポーンとインターホンが鳴った。

「あ、お客様だ」

宅配便かなと思って、ドア近くにある画面を見るとそこに映っているのは着物姿のおじいちゃんだった。

「もしかして、冬悟さんのおじいちゃん!?」

それか、親戚のおじいちゃん。
きっとそうだ。

「こんにちはー!」

元気よくバァンっとドアを開けた。
背筋をしゃんと伸ばしたおじいちゃんは勢い良く飛び出してきた私を見て驚いていた。
両側には黒いスーツをきた強面のボディガードがいる。
嶋倉建設のおじいちゃんともなると、やっぱり待遇が違う。

「すみません……。ちょっと元気すぎましたね」

「お前が冬悟の嫁か?」

「はい。結婚したばかりで実感はありませんけど。どうぞ、中へ」

「中に?」

「ぼた餅を作ったんです。よかったら食べませんか?」

立ち話もなんだからと思い、おじいちゃんを中に入れた。
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