私達は結婚したのでもう手遅れです!
ぼた餅あげただけなのに褒めすぎです。もう!

「今度、会った時、ぼた餅のお礼をさせてもらおう」

「そんなの気にしないでください」

「冬悟によろしく」

そう言って、おじいちゃんは笑った。
よく見ると目が鋭くて、顔立ちがキリッとし、威厳あるおじいちゃんだった。
若い時はきっとモテたに違いない。
冬悟さんみたいに。
手を振って見送ると、ドアを閉めた。

「あれ?マンションのドアって開かないはずだよね?」

カードキーじゃないと開かないって言ってたはず。
だから、冬悟さんは私にカードキーを渡してなかった。
どうやって開けたのだろう。
マンションのドアに手をやり、動かしてみるけど、しっかりロックされていて開かないようになっていた。
でも、ボディガードの人はカードキーを持っていた。

「……うん?」

不思議な出来事に私は首をかしげるしかなかった。
冬悟さんが帰ってくるまでには時間がある。
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