私達は結婚したのでもう手遅れです!
「親戚のおじいちゃんですよね。きましたよ。着物姿の渋いおじいちゃんがきて、冬悟さんがいなかったので帰られました」

「親戚?あのジジイ、とうとうボケたか。なにかされたか?嫌なことは言われなかったか?」

「いいえ。あ、でも、ぼた餅をごちそうしました」

「ぼた餅?」

「お彼岸ですから、ぼた餅を作ったんですよ。冬悟さんの分もちゃんとありますから、食べてくださいね」

作りすぎたことは内緒にしておいた。
少しずつ一緒に食べましょうねと心の中でつけたした。

「懐かしいって言ってました」

「それだけか?」

「はい。あっ、でも!」

「なんだ?」

「私、新婚オーラを出しすぎておじいちゃんは迷惑だったかもしれません」

「……それはいい」

「そうですか。よかったぁ」

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