私達は結婚したのでもう手遅れです!
そして、余裕があれば、夕食の下ごしらえも終わらせる。
楽しみにしていることがあると、いつもは大変だなと思える仕事も今日は楽々にこなせてしまうから不思議だ。
だってデートなんだよ!?
考えただけでにやけてしまう。
人生初デート。
それも相手は憧れの冬悟(とうご)さん。

「お姉ちゃん。花をとばさないで」

「え?花?」

百花は私から飛んでくる花を手で叩き落とすような動作をしてみせた。

「今日、怖いくらいに笑顔よ?」

「そ、そう?」

思わず、窓ガラスにうつる自分の顔を確認した。
確かに笑顔だった。
頬をつねって引き締めようとしてもすぐにゆるんでしまう。

「じゃ、じゃあ、百花。お届け物は全部終わったし、後は倉庫で備品の確認をしてくるわね」

姉として、キリッとした表情を作り、百花に言った。
箱やのし紙の在庫を確認して、足りない分を発注をしてこよう。
そう思って、奥の倉庫へと入った。
季節に合わせた箱やリボン、のし紙に少し絵が入ったものや無地のもの。
少しひんやりとする倉庫で深呼吸をすると落ち着いてきた。
ちゃんと仕事をしないとね。
< 17 / 386 >

この作品をシェア

pagetop