私達は結婚したのでもう手遅れです!
「違うわよ!そんなことで呼び出すわけないでしょ!」

「羽花ちゃんがいなくなって、お店が大変なのは本当だけど、そうじゃないのよ。しっかりして」

しっかりしてって言われてしまった。
これでも前よりはしっかりしてきたと思うけど……

「お姉ちゃんが結婚した嶋倉冬悟さんを私なりに調べてみたの」

さすが百花。
これが本物のしっかりさんというわけですか。
聞きましょう。
冬悟さんの素敵な武勇伝を。
ずいっと前に出た。

「冬悟さんの詳しい話、聞きたいから教えてくれる?」

「もちろんよ!あんな若くして社長だなんて胡散臭いと思っていたのよ」

「胡散臭い!?」

私が思っているのとだいぶ違う。
むしろ、悪い雰囲気―――

「お姉ちゃんを手際よくさらったあげく、ヤクザ相手に平気な顔をしていられるなんてありえない」

「落ち着いて聞いてね。羽花ちゃん」

「嶋倉冬悟はヤクザよ!嶋倉組組長の孫!」

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