私達は結婚したのでもう手遅れです!
「あいつがヤクザっていう情報を教えてやったのに?犯罪っていうのなら、詐欺同然に結婚した奴のほうが
犯罪者だろ?」

「私の友達にお姉ちゃんの結婚相手がヤクザって教えたのはあんたなの!?」

「正しくは俺の下のモンな」

これは罠だったんだと私ですら気づいた。
私をおびき寄せるために冬悟さんのことを百花の友達に話して耳に入るように情報を流したのだろう。
百花に私に連絡をさせて、まんまと冬悟さんから引き離した―――

「羽花さん。逃げてください。目的はあなたです」

「一人じゃ不利だぜ?仙崎のおっさん」

「時間稼ぎくらいにはなります」

仙崎さんがスーツの上着を脱ぐ。
これって店で乱闘が始まっちゃうかんじ?
困る、困るよー!
私と百花は手を握りあった。

「冬悟さんはもうヤクザではありません。冬悟さんだけじゃない。我々も同じ。その世界から嶋倉は足を洗った。二度と戻ることはない」

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