私達は結婚したのでもう手遅れです!
私が覚えている冬悟さんはサラサラの髪に大きな瞳、長いまつげで色も白くてお人形さんみたいだった。
「結婚のことは羽花がいいなら、それでいい。菓子のことだけでなにもしてやれなかった親だ。娘の方がよほどしっかりしている」
夜遅くまで父は和菓子の勉強をしていたことを知っている。
この『柳屋』を守ることに必死だった父。
洋菓子に押されつつも生き残れたのは父がいたから。
「羽花はどうしたいんだ?」
父は真面目な顔で聞いてきた。
「私は冬悟さんと一緒にいたいです」
「そうか」
冬悟さんの抱きしめる手が震えたのがわかった。
「……一緒にいたいと思ってくれるのか」
「もちろんです!」
どうしてそんな顔をされるか、わからない。
でも、冬悟さんは私の言葉に驚いていた。
「冬悟君。ひとつだけ約束してもらえるか」
「なんでしょうか」
「羽花を危ない目にだけはあわせないでくれ」
「結婚のことは羽花がいいなら、それでいい。菓子のことだけでなにもしてやれなかった親だ。娘の方がよほどしっかりしている」
夜遅くまで父は和菓子の勉強をしていたことを知っている。
この『柳屋』を守ることに必死だった父。
洋菓子に押されつつも生き残れたのは父がいたから。
「羽花はどうしたいんだ?」
父は真面目な顔で聞いてきた。
「私は冬悟さんと一緒にいたいです」
「そうか」
冬悟さんの抱きしめる手が震えたのがわかった。
「……一緒にいたいと思ってくれるのか」
「もちろんです!」
どうしてそんな顔をされるか、わからない。
でも、冬悟さんは私の言葉に驚いていた。
「冬悟君。ひとつだけ約束してもらえるか」
「なんでしょうか」
「羽花を危ない目にだけはあわせないでくれ」