私達は結婚したのでもう手遅れです!
「もちろんです」

冬悟さんは力強く返事をしてくれた。
奪われないとわかったからか、私から手を離して居住まいをただし、『柳屋』のみんなに言った。
一生私はこの時のことを忘れないと思う―――

「羽花さんのことは俺が幸せにします」

その言葉だけでじゅうぶん幸せをもらってしまっている。

「私も冬悟さんのことを幸せにしますっ!」

気づくと、その場の勢いで私もそんなことを口にしていた。
そうして二人は幸せに暮らしました。
めでたし、めでたし。

―――となるにはまだ早い。

肝心の矢郷組の問題が片付いていない。
まだ私の身は狙われたままだった。
諦めないと言ったその言葉どおりに―――
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