私達は結婚したのでもう手遅れです!
仙崎が俺から距離を置き、遠くから眺めているにも関わらず、俺が何者のか、すぐにバレてしまう。
俺の周りから人がいなくなるのは家のせいだと気づくには十分すぎるほど、わかりやすい出来事だった。

「えー!?どうして冬悟くんと遊んじゃだめなのー!?」

何度も聞いたセリフにうんざりしていた。
それでもここにくるのはあの子に会うため。

「滑り台は俺様がいただいた!」

「ず、ずるいよおー!使わせてよー!」

涙目で抗議する羽花とそれを見て満足そうに笑う玄馬。
またか。
玄馬は好きな子をいじめるという不可解な行動をとる。
小学生にもなってガキくさい。
今日も玄馬から追い払われた羽花が砂場で泣いている。
砂場でうつむきながら、いじけたようにスコップで砂を掘っていた。

「おっ!冬悟。お前にもこの滑り台は使わせねえぜ!」

「ガキくさい」

「なっ、なんだとー!」

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