私達は結婚したのでもう手遅れです!
騒ぐ玄馬を無視して羽花のところへ行く。

「羽花。お城を作ろうか?」

「お、お城……!?そんなの作れるの?」

「作れるよ。一緒に作ろう」

「うん。いつもありがとう。この間、作ってくれたお家も素敵だったよ。本物のお菓子の家みたいで妹とお腹すいたねぇって言ってたんだよ」

「そうかな」

「そうだ。これ、あげる。うちのお菓子」

ポケットに入っていた金平糖の瓶をくれた。

「星みたいに綺麗でしょ。七夕用の試作品なの。お父さんが私と妹にくれたんだよ」

「もらってもいいの?」

「うん!」

「甘いもの好きだから嬉しいな」

「私も大好き!」

そう言って微笑んだ羽花を見て胸が痛んだ。
いつまでも一緒にはいられない。
俺がヤクザの子だってわかったら、羽花はきっと離れていく。
七夕の織姫と彦星のように一年に一度会うことすらできなくなる。

「ねえねえ!お城ってお姫様がいるみたいなお城?」

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