私達は結婚したのでもう手遅れです!
「うん、そうだね。そういうのを作ろうか」

「うわあー!楽しみ!」

羽花は水をくんで砂を集めてくれる。
真剣な顔で砂をバケツにいれていた。
羽花とは砂場だけじゃなく、ブランコやボール遊びもして、時々小さい妹も一緒になって遊んだ。
俺達は仲良くなり始めていた。
それなのに―――

「ちょっとあれ、『柳屋』さんのとこの羽花ちゃんじゃない?ヤクザの子と遊んでるわよ」

「知らないのかも。あの子はちょっとおっとりしてるから」

ひそひそと公園にきていた大人が囁いていたのが耳に入った。
羽花が仕上がったお城を嬉しそうに眺め、他の子に声をかけると母親達が蜘蛛の子を散らすようにして自分の子供を連れ、公園からいなくなってしまった。
なにが起きたかわからない羽花は呆然と立ち尽くしていた。

「みんな、帰っちゃった。せっかく素敵なお城なのにみてほしかったよね。そうだ!百花を呼んでこよう!」

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