私達は結婚したのでもう手遅れです!
第30話 お互いの身上【冬悟】
羽花が家族旅行に行ったことがないことは羽花の父親から聞いて知っていた。
老舗和菓子屋『柳屋』の暖簾を守るため、父娘で必死にやってきたのはわかっている。
だからこそ、新婚旅行は羽花の行きたいと思うところにするつもりだった。
そして、羽花が楽しいと思えるような旅行にしたかった。
厳選に厳選を重ねたパンフレットと旅行雑誌。
旅行になれていない羽花でも疲れずに楽しめそうな場所をピックアップした。
山積みにした旅行雑誌やパンフレットが机の上に広げられている。
羽花がさっきまでペンで丸をつけたり、付箋をはったりして、楽しそうにしていた姿を思い出して頬が緩む。
「羽花さんに喜んでいただけてよかったですね」
「ああ」
仙崎は俺の心を読んだかのように言ってきて、いつもなら俺が悪態をつくところだったが、今はその言葉を素直に受け取った。
老舗和菓子屋『柳屋』の暖簾を守るため、父娘で必死にやってきたのはわかっている。
だからこそ、新婚旅行は羽花の行きたいと思うところにするつもりだった。
そして、羽花が楽しいと思えるような旅行にしたかった。
厳選に厳選を重ねたパンフレットと旅行雑誌。
旅行になれていない羽花でも疲れずに楽しめそうな場所をピックアップした。
山積みにした旅行雑誌やパンフレットが机の上に広げられている。
羽花がさっきまでペンで丸をつけたり、付箋をはったりして、楽しそうにしていた姿を思い出して頬が緩む。
「羽花さんに喜んでいただけてよかったですね」
「ああ」
仙崎は俺の心を読んだかのように言ってきて、いつもなら俺が悪態をつくところだったが、今はその言葉を素直に受け取った。