私達は結婚したのでもう手遅れです!
「ただいま戻りましたー。あー、会議、かったるかったなあ」

会議を終えた竜江(たつえ)が戻ってきた。
あいつも昔はスーツの似合わない男だったが、今ではちゃんとした社会人に見える。
手には会議資料がある。
嶋倉建設の重役でもある竜江は見た目よりずっと仕事ができる奴だった。

「部長の話がなげえの。いやー、自分の苦労話に発展した時には殺意を覚えましたね」

「お前が殺意とか言うと冗談にならないからな」

「冬悟さんには言われたくないっす。仙崎さん、護衛交代しますよ」

竜江はどさっとソファーに座った。
なにが護衛だ。
お前は昼寝でもするつもりか。
ぎろりとにらむと竜江は笑ってごまかした。
そして、資料を眺めて仕事をしているフリをする。
竜江のやつめ。
こういう要領のよさだけは一流だな。

「会議が昼休みまでに終わってマジ良かったですよー」

「昼休み?なにか楽しみなことでもあるのか?」

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