私達は結婚したのでもう手遅れです!
竜江はバッと立ち上がって言った。

「まだわかりませんよ。とりあえず、社内を探してみます」

すぐに出ていった。

「仙崎。矢郷組に行くぞ」

「冬悟さん。いいんですか……?足を洗った時に矢郷組と争わないと決めたはずでは……」

仙崎はじいさん同士が決めたことを破るのではと気にかけているようだった。

「争うからなんだ。怖じ気づいてんのか」

「いえ。すぐに車の用意をしましょう」

俺の鋭い視線に仙崎は気づき、『すみませんでした』と謝ると車のキーを手にした。

「冬悟さん!やっぱり、礼華さんですよ!」

竜江が礼華をひきずって社長室に連れてきた。

「ちょっと!乱暴にしないでよ。腕が痛いでしょ!」

「礼華。羽花はどこだ」

「知らないわよ。ウチの若い衆が連れていったんだから」

礼華はふんっと顔を背けた。

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