私達は結婚したのでもう手遅れです!
「あ、あの、助けていただいてありがとうございます。でも、もう殴ったりしないでください。かわいそうですから」

「ケジメつけてんだよ。冬悟だってこれくらいのことやるぞ?見たことないのか?」

「冬悟さんはこんなことしません」

「それは羽花ちゃんの前だけだ。本当のあいつは俺と同じ。本性をうまく隠してんだよ」

そう言いながら、す巻き状態だった私の体を自由にしてくれた。
そして、私の左手をつかんだ。
左手薬指には結婚指輪があった。
それを見て、『おめでとう』なんてお祝いを言ってくれるような雰囲気は一切ない。
冷たく蔑むような目をして指輪を見つめていた。

「結婚指輪ね……」

するりと私の指から指輪を抜くと、それを庭に捨てた。

「なにするの!」

「気に入らねえ。だいたいお前の継母が通っていたホストクラブは嶋倉組の息がかかったホストクラブだぞ。知っていたか?」

―――知らなかった。
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