私達は結婚したのでもう手遅れです!
第32話 それぞれの思惑
「ごめんなさい。私は冬悟さんの妻ですから」
なかなか離れてくれないので、力いっぱい顔をぐいっと手のひらで押しやった。
力いっぱい押したせいで頬が赤くなり、玄馬さんは痛そうに頬をさすりながら言った。
「あいつは悪い男だぞ!ヤクザの俺が言うんだから間違いない!」
「そうかもしれません」
頭がよくて、かっこよくて、なんでもできてしまう冬悟さん。
ぼんやりしている私のことなんて、簡単に騙してしまうだろう。
「でも、冬悟さんは嘘だけはつかないんです」
「はあ?」
「はぐらかすのは上手なんですけど、嘘をつき通せばいいのに私のお父さんにもきちんと自分のことを話してくれました」
「人がよすぎるだろ」
「人がいいのは冬悟さんです。私なんかの存在をずっと気にかけてくれていて、助けてくれる人なんていません」
なかなか離れてくれないので、力いっぱい顔をぐいっと手のひらで押しやった。
力いっぱい押したせいで頬が赤くなり、玄馬さんは痛そうに頬をさすりながら言った。
「あいつは悪い男だぞ!ヤクザの俺が言うんだから間違いない!」
「そうかもしれません」
頭がよくて、かっこよくて、なんでもできてしまう冬悟さん。
ぼんやりしている私のことなんて、簡単に騙してしまうだろう。
「でも、冬悟さんは嘘だけはつかないんです」
「はあ?」
「はぐらかすのは上手なんですけど、嘘をつき通せばいいのに私のお父さんにもきちんと自分のことを話してくれました」
「人がよすぎるだろ」
「人がいいのは冬悟さんです。私なんかの存在をずっと気にかけてくれていて、助けてくれる人なんていません」