私達は結婚したのでもう手遅れです!
「悪いな。それは無理だ」

腕を掴まれ、引きずられるとす巻きにしていた縄で腕をぐるぐる巻きにされてしまった。

「はずしてくださいっ!」

そのまま、柱にくくると、ぽんっと私の頭を叩いた。

「こっちにも面子ってもんがある。素人の嶋倉に負けるわけにはいかねえ」

私の声は玄馬さんに少しも届いてない。
聞こうともしてくれなかった。
背筋が寒くなるほどの凶悪な顔をした玄馬さんはやっぱりヤクザなんだとわかった。
玄馬さんは振り向きもしないで、呼びに来た人達と行ってしまった。

「どうしよう……」

玄馬さんと争う前に冬悟さんのところに戻らなくてはと思った。
私と礼華さんを怪我もなくお互い無事だとわかれば、争いも収まるかもしれない。

「い、急がなくちゃ」

泣きたい気持ちで腕の縄をなんとか解こうともがいた。
けれど、さすがプロ。
解けそうにない。

「ううっ……縄ぬけを覚えておけばよかった」

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