私達は結婚したのでもう手遅れです!
「横恋慕なんぞ、女々しい真似をするな!矢郷の名前に泥を塗るつもりか。これ以上、恥をかかせるのなら、孫といえども破門するぞ!」

おじいちゃんの一喝にしんっと静まり返った。
青い顔をした玄馬さんを見て、破門というのはそれくらい重いことなのだとわかった。
仙崎さんがすっと前に出た。

「片付いたようですので、これで失礼させていただきます」

「矢郷組長。もう会うことはないと思うが、長生きしてくれ」

「クソガキが。生意気な奴だ。お前はこっちの人間だろうが」

おじいちゃんの言葉に冬悟さんは笑った。

「そうかもな」

ひょいっと私の体を抱える。

「と、と、冬悟さんっ!重いですからっ!」

「足が汚れる」

靴がない私をお姫様だっこしてくれたけど、恥ずかしすぎる。

「冬悟。いい嫁だな。ぼた餅、うまかったぞ。マンションのセキュリティはザルだ。しっかりしておけ」

「次はおはぎを作りますね」

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