私達は結婚したのでもう手遅れです!
「社長がカフェにいるぞ……!」

「嘘だろ。カフェなんてくるかよって……うわっ!!いるっ!?」

なにやら、ざわざわと周囲がざわめき立っているが、そんなことはどうでもいい。
大事なのは羽花から接触禁止命令を解いてもらうことだ。

「羽花。ここでよかったのか?」

「はいっ!」

俺は羽花が喜ぶならどこへだって行く。
そこが俺にとって、どんなに似合わない場所だったとしてもだ。
俺にカントリー風のカフェは似合わない。
そんなことはわかっている。

「私、ずっとこのイチゴのロールケーキが食べたかったんです。これが甘さ控えめという噂の生クリーム……」

羽花はロールケーキの白いクリームをすくい、大きな口で食べた。

「ふあー!おいしい!」

気のせいでなければ、今までで一番幸せそうな顔をしている。
……まさかな。
さすがにそれはないだろう。

「イチゴも大きいし、甘いし、春ってかんじですね」

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