私達は結婚したのでもう手遅れです!
遠慮するということは、なかなか手に入りにくいものなのか?
どんなものだったとしても嶋倉の連中を総動員して手に入れてやる。

「『柳屋』のことなんですけど弟が修行から帰るまでの間だけ手伝いに行ってもいいですか?妹の百花が頑張ってくれていますけど、今までお店のことをやってきたのは私なので、わからないこともあって」

「ああ、そうか……」

俺は羽花が店を取り仕切る姿を遠くからずっと見てきた。
短大を卒業してからはほとんど表向きの仕事は羽花がやっていたと言ってもいい。

「衣兎おばさんも手伝ってくれているんですけど、お客様のことを細かく聞かれても説明するのがメールだけじゃ難しくて」

「わかった。だが、竜江と仙崎に送迎はさせるからな」

「ちょっと過保護じゃないですか?」

「だめだ」

過保護だと言われてもそこを譲る気はない。
羽花が『柳屋』を大切に思っていることは知っている。
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