私達は結婚したのでもう手遅れです!
あ、あれー!?今の私の言い方が悪かったの?
違うって言っているのに冬悟さんは何度も角度を変えてキスをする。

「んっ、やっぁ……や、やめてください!」

涙目になった私の体を起こすと悪い顔をして笑った。

「ここまでにしておいてやるよ。まだ行く場所が残ってる」

仙崎さんと竜江さんは私と目を合わせず、『なにもみてませんでした』という白々しい態度をとっていた。

「ひどすぎます……」

よろよろとしている私に冬悟さんがくすりと笑う。

「羽花が悪い。見つめられてお願いされたら、応えたくなるだろう?」

武士の母の言葉通りにしたのにおかしい。
なにが悪かったのかな。
竜江さんが笑いをこらえているのが見えて、そこでやっと気づいた。
もしかして、武士の母は竜江さんの罠?
こうなることをわかってた!?

「続きは帰ってからな?さて、まだ挨拶回りがある―――」

冬悟さんが私の耳元に唇を触れさせた。
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