私達は結婚したのでもう手遅れです!
あ、あれ?腕は絡ませていていいってことですか?
それとも、イチャイチャしたところを皆さんにみせたいだけですか?
冬悟さんの表情が変わらないせいで、真意は謎だったけど腕は絡ませたまま、玄関へと入った。

「姐さん、どうぞ、スリッパを」

「段差になってますから、気を付けください」

どこから現れるのか、人が集まり、かいがいしく世話を焼いてくれる。
冬悟さんは額に手をあてていた。

「だから、それをやめろと言っている」

「冬悟さんがお帰りになられたのになにもせずにいるなんてできませんよ!」

「そうですよ、しかも、姐さんをお連れした大切な日ですよ?」

「気分を害されることがあっては、俺らの手落ちになりやす!」

「むしろ、俺としてはなにもせずに座っていて欲しいくらいだ」

冬悟さんの言葉に『そんなー殺生な―』『俺達も活躍したい!』と、切実な声が聞こえてきた。
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