私達は結婚したのでもう手遅れです!
「すばらしい!すばらしいです!竜江さん!」

「そっちの首尾は?」

ふふっと私も笑う。
そして、着物の襟もとから数枚取り出した。

「これを収めてもらいましょうか」

「うお!すげぇー!」

「可愛いでしょう。これが百花の中学生時代の体育祭、そして高校の文化祭でやったメイド服」

「ぼんやりしてる女だと思っていたが、なかなかやるな」

「ぼんやりは余計です!」

お互いの功績を称え合った。
そして、どうやって手に入れたかを話し合っているその時―――

「なんだ。楽しそうだな」

まだ戻らないと思っていた冬悟さんが現れて、私と竜江さんは小さい悲鳴をあげた。

「け、気配がなかったですよっ!?」

仙崎さんが逃げようとした竜江さんの首をつかんだ。

「隠したものを出せ」

「い、嫌です!渡しません!」

「仙崎。竜江のを」

「渡すか!」

仙崎さんはすばやく一枚奪い取り、冬悟さんに渡す。
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