私達は結婚したのでもう手遅れです!
「羽花の顔を見にきた」

「えっ!?う、うそ」

顔が赤くなったのを冬悟さんが笑いながら見て言った。

「そう言いたいところだが、違う」

一気にしゅんっとなった。
冬悟さんの手のひらでもてあそばれる存在。
それが私。
ふうっとため息をついた。

「結婚式の引き出物につける『柳屋』の菓子の相談だ」

「あ、そうでしたね。嶋倉の家でやる和装の結婚式のお菓子ですよね」

「そうだ」

「和装の結婚式?」

帆希が不思議そうな顔をしていた。
うん……そうなるよね。
私が新婚旅行先に南の島をチョイスした。
冬悟さんはもしや、私が結婚式は南の島で挙げたいのでは?と考えたらしい。

「えっとね、和装は嶋倉の関係者を集めた式で、それが終わったら二人で南の島のチャペルで式をすることになっているの」

「二度も?」

「わ、私は一度でいいって言ったけど、冬悟さんが……」

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