私達は結婚したのでもう手遅れです!
「両方みたいと思うのは当たり前だろう」

ちょっともめたけど、結局私は冬悟さんの熱意と説得に負けて、二種類の結婚式を挙げることになった。

「そうですか。おめでたいことですから、姉が幸せならそれでいいです」

帆希は静かな口調で言った。

「帆希君はまだ修行を続けるのか」

「はい。今年いっぱいは向こうで修行し、来年春には『柳屋』に戻りたいと思ってます」

継母のことがあり、五月の終わりから一週間だけお休みをもらって帰ってきた帆希。
父がいいと言ってるのに帆希は『柳屋』の親戚の家を回り、継母の借金を謝罪して歩いた。
親戚達から継母の分までしっかりやりなさいよとプレッシャーをかけられてしまった帆希。
母親の悪口や酷いことを言われ、傷ついているはずなのに帆希は表情を崩さず、わかりましたとだけ答えたそうだ。
しっかりした弟で―――もしかして、下にいくほど、しっかりするパターン!?
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