私達は結婚したのでもう手遅れです!
ハッとして、冬悟さんの前に出た。

「冬悟さんっ!結婚式のお菓子の注文を受けます!私がっ!取り仕切ってみせます!」

私がしっかりしているとこもアピールしておかねば!
姉としてっ!

「いや、帆希君に頼もうと思っている」

えっ……と出鼻をおもいっきりくじかれ、悲しい顔をすると冬悟さんが私の頭をぽんぽんと叩いた。

「帆希君のいい経験になるだろう?」

「そ、そうですね」

さすが冬悟さん。
目の前の利益ではなく、将来的な利益を考えてのことですね。

「俺に任せていいんですか」

「もちろん」

嶋倉の関係者に配るお菓子。
なかには嶋倉建設の取引先の方もいる。
帆希のお菓子を気に入ってくれたら、息の長いお得意様になるだろう。
自分の浅はかさにまたシュンッとなった。

「俺、冬悟さんに恥をかかせることがないようがんばります」

< 288 / 386 >

この作品をシェア

pagetop