私達は結婚したのでもう手遅れです!
「ああ。それと、俺のことはお義兄さん、もしくは義兄さんと呼んでくれるか」

「はい。冬悟義兄さん」

二人はウマが合うようで、穏やかな空気が流れていた。
一人っ子の冬悟さんは帆希の『義兄さん』呼びにかなりご満悦のようすだった。

「羽花姉さんが幸せそうで安心した」」

「もちろん、幸せだよ!」

「うん、よかった」

帆希はほっとしたように見えた。

「俺、てっきり姉さんが借金のカタに結婚させられたんだと思っていたから、ずっと気になっていたんだ」

す、鋭い。
というより、そう考えるのが当たり前?

「義兄さんは姉さんを大事にしてくれているし、安心して戻れるよ。あと、大切な結婚式の菓子を任せてくれてありがとう」

帆希がやわらかく笑った。
私の方こそ、安心したよって帆希に言いたいくらいだった。
もしかすると、帆希は『柳屋』を継ぎたくないんじゃないかって思っていたから。
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