私達は結婚したのでもう手遅れです!
私と帆希はにこっと笑いあった。
冬悟さんも私と帆希を見て微笑んでいた。
そんなほんわかした空気の中、ガッーと自動ドアが開いた。

「冬悟さーん!そろそろ、会社に戻らないと会議の時間に間に合いませんよって。ん?新しい職人さんっすか?」

竜江さんが帆希をじいっと見た。

「へぇー。遊びを知らなさそうな真面目そうなガキですね」

最近、なぜか竜江さんが『柳屋』に出入りしているらしい。
それでか、竜江さんは帆希に先輩のようにふるまってみせた。

「冬悟義兄さんの部下ですか?」

「そうだ」

「義兄さん!?えっ!?冬悟さん、義兄さんって呼ばれているんですか?」

「まあな」

竜江さんは真剣な顔をして帆希の肩をぽんっと叩いた。

「おい。俺のことも義兄さんって呼んでいいぞ」

「お断りします」

「どうしてだよ!?」

「竜江。なにを言ってるんだ?お前がどうして兄なんだ」

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