私達は結婚したのでもう手遅れです!
「それから、その紫陽花をもらおうかな」

帆希が微笑んだ。
冬悟さんにはわかったようだった。
それが帆希が作ったものだということが。

「ありがとうございます」

帆希は嬉しそうに小さく笑った。
その微笑みは幼い時、父と初めて和菓子を作った時の帆希の表情と同じだった。
きっと帆希は父に負けない立派な和菓子職人になるだろう。
そんな予感がした―――
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