私達は結婚したのでもう手遅れです!
手伝ってくれた衣兎おばさんは中身を知っていて、帆希の作った練りきりを絶賛していた。
帆希に嫌味を言っていた親戚達は帰ってから、中身を知ることになるけど、それを見たら、文句を言えなくなると思う。
そう思うと、冬悟さんの先見の明は確かだったというわけで。
さすが冬悟さんっていうか、私の旦那様っていうか―――(延々と続く)

「衣兎さん。ちょっといいかな」

「なにかしら」

衣兎おばさんは親戚の人に呼ばれて、なにか話しこんでいた。
深刻な顔をしていた話し相手は話が終わるとパッと顔を明るくさせた。

「ありがとう。助かったよ」

そんな返事が聞こえてくる。

「悩みはつきないものね」

昔から衣兎おばさんはお店で人の相談をされてきた。
近所の飼い猫のことから、隣の家の木の枝が邪魔だとか、そんな話まで丁寧に答えていた。
そのせいか、よく人から相談を受ける。
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