私達は結婚したのでもう手遅れです!
衣兎おばさんのアドバイスは上手だと評判だった。

「衣兎おばさん、また相談に乗っていたの?」

百花がたずねると、おばさんはそうよとうなずいた。

「最近は雑誌でも相談コーナーを任されているのよ」

百花がえっ!と小さい声をあげた。
そして私も。

「ま、まさか。武士(もののふ)の母!?」

「あら?そうよ。二人とも読んでるの?」

「読んでるっていうか」

「目にはいっただけよ、たまたま、たまたまよ!」

私と百花が不自然に目を泳がせた。
カリスマ相談員の武士の母って竜江さんじゃなかったんだ……

「そう。けっこう私のコーナー、評判がいいのよ」

知っているとは言えなかった。
いつもは落ち着いてる百花もそわそわしていた。

「どうした?羽花?」

「な、なんでもないです!鯛の塩焼き、おいしいですねぇー!」

「本当ね~!わぁ、鯛の塩焼きおいしーい!」

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