私達は結婚したのでもう手遅れです!
「新しいリゾートホテルの計画、素敵でした。完成が楽しみですね」

企画書を見たらしく、羽花はうきうきとした口調で言った。

「羽花は南の島が好きだな」

羽花が新婚旅行に選んだのも南の島だった。
夏にまとまった休みがとれる。
その夏の休暇時にチャペルでの結婚式と新婚旅行をまとめてやるつもりだった。

「このリゾートホテルが完成したら、一緒に泊まりに行こう」

「こんな立派なホテルに!?あ、あの、おねだりのつもりで言ったんじゃないんです」

武士の母の言葉が頭によみがえる。
『高価なプレゼントを申し訳ないと思う女性がいるのも事実。彼女の気持ちの負担にならないような好意の示し方をしてみては―――』
うるせえよ。
頭の中の言葉を打ち消した。

「羽花は俺と旅行は嫌か?」

「嫌じゃないです」

「じゃあ、決まりだな」

「はい」

照れたように羽花はうつむいた。
羽花は今日も可愛い。
< 307 / 386 >

この作品をシェア

pagetop