私達は結婚したのでもう手遅れです!

初めての。

私は冬悟さんと結婚した―――今、私はそれを実感できる。
この一冊の本によって!

「とうとうこの禁断の書を手にする日がきたなんて……」

じーんっと感動のあまり、本に頬ずりしてしまった。
感無量。
本を胸に抱きしめた。
今日は冬悟さんは仕事でいない。
私の仕事は土日は完全にお休みだけど、社長である冬悟さんは忙しい。
仙崎さんと竜江さんの二人を連れて出かけて行った。
その隙に私はやりたかったことをやるんですよ……
あくどい笑みを浮かべた。
キッチンに揃えた道具はさりげなく集めてきたものばかり。
その道具を使って、私は特別なことを始める。
今までできなかったことへの飽くなき私の挑戦。

「最初の一ページを開く時がっ!」

スッと指を表紙に触れさせた。
本屋で買ってきた私の憧れの本。
それは―――

『初心者でも作れる!美味しい洋菓子』

表紙はもちろん洋菓子の王者、イチゴのケーキ!
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