私達は結婚したのでもう手遅れです!
「竜江はそこに転がっている五人を矢郷組まで届けてこい」

「そんじゃ、嶋倉の若いもん呼んで運ばせます」

助手席に座ると後部座席に荷物のように転がされた玄馬の姿がバックミラーにうつっていた。
痛みからか、体を動かさないようにしているようだった。
あれは骨が数本折れてるな。

「くそ、いてぇ……」

「だいぶ派手にやられたが、相手は矢郷の分家か」

「たぶんな。わざと矢郷の縄張りで俺を痛めつけやがった」

「狙われているのはわかっていただろう。一人で歩くな」

「ふん。裏切り者をあぶり出してやっただけだ」

「あぶり出されたのは玄馬さんでしたね」

仙崎の冷静で的確な言葉。
―――まったくだ。
馬鹿すぎてため息が出る。

「向こうはお前のその直情的な性格を把握して、一人になるのを狙っていたんだぞ。それくらいわかれ。わからないなら、組を継ぐな」

「そこまで言うかよ」

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