私達は結婚したのでもう手遅れです!
「上に立ったら、やられるわけにはいかない。やっていいのは勝てる喧嘩だけだ」

「俺はお前みたいにはなれねーんだよ!……いてっ……」

あばらを何本かやっているらしく、大声を出すと響くようだった。
玄馬はしばらく、痛みで声を出せずにうずくまっていた。

「俺は……一人でやれるとこ、みせたかっただけだ。強いところを見せねえと礼華のことで分家の奴らはますますつけあがるだろ」

悔しそうに拳を握りしめている玄馬が見える。
こいつは昔から負けず嫌いだった。
俺に喧嘩を売っては負けていたが、玄馬が弱いわけではない。
考えなしで動くからこうなるだけだ。
俺達が到着した時、他の奴らも無傷ではなかった。
だが―――

「それで、自分が傷を負ってどうする。圧倒的な力で叩き伏せてこそだ」

「……わかっている。次はねえよ」

「そうだな」

少し賢くなったのか、玄馬は一人で動かないことを覚えたらしい。
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