私達は結婚したのでもう手遅れです!
うんうんと百花の言葉に私はうなずいた。

「温泉旅行だって、冬悟さんは私が行きたいことをわかっていて、上手に誘ってくれて―――」

ハッとした。
誘うっていうか、あれはもう誘惑っていうかっ!
恥ずかしくなって、顔を赤くしていると百花と竜江さんが冷たい目で私を見ていた。

「ご、ごめん。つい」

「いや、今日もノロケが始まんのかと思ってたけど、止まってよかったぜ」

「お姉ちゃんのノロケ話は始まると止まらないからね」

「そ、そうかな」

百花と竜江さんがうなずいた。

「でも、お姉ちゃん、温泉なんていいわね」

「え?なら、俺と行く?」

「行かないわよ」

「ええええぇ」

竜江さんがすごいスピードで百花にフラれていた。
二人が並んでいるとお似合いだなぁ。
でも、百花って彼氏がいるからね。
甘くないチョコレートケーキをあげたいなんて思うくらいのラブな彼氏が。
どんな人なんだろう。
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