私達は結婚したのでもう手遅れです!
竜江さんには悪いけど、百花はもう彼氏がいるからね。
さりげなく、ここで竜江さんにはわかってもらおう。

「百花も彼氏と温泉に行きたいなら、店番は私がするから言ってね。お店があるからって、遠慮しないで」

ふう……これで大丈夫だよね。
我ながらいいことをした。
そう思っていた。

「そうだよなぁー!俺もそう思う!温泉行きたいよな!?」

「竜江さんじゃないよ」

「わかってるって。もっと言ってやったほうがいいとおもうぞ!」

「もしかして、百花。私に遠慮してたの? 大丈夫。温泉に行く間くらいお店のことは私がやるから」

「お姉ちゃん!余計なこと言わないでよ!」

え……?
余計なことだった?
百花に叱られてしまった。

「ごっ、ごめん」

「あ、ち、違うの。今はね、その、『柳屋』の仕事をちゃんと覚えたいの。来年の春には帆希(ほまれ)も帰ってくるでしょう?」

「うん」

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