私達は結婚したのでもう手遅れです!
「帆希にはお父さんと同じくらいの才能があるんだから、埋もれさせたくないの!目指すはデパート進出よ」

ガッツポーズを百花はきめた。
友達がパティシエでその影響もあるんだと思うけど、百花は地域のイベントであるマルシェにも日曜日の朝、『柳屋』として出店している。
いつもはヒマさえあれば、仕事をサボりがちな竜江さんにまで、出店を手伝わせていて、私の妹ながら大物だなって思っていた。
和菓子の可能性がどうのこうのと私よりも百花のほうが熱い情熱を持っているかもしれない。

「そうだね。百花がやりたいのが一番だよね」

「マジかよー」

竜江さんが悲しそうにテーブルに顔を伏せた。
どうして竜江さんがそんな落ち込むんだろう。
竜江さんが百花の彼氏ならともかく。
だいたい温泉旅行に竜江さんが誘っても百花はのってこないと思う。
下心がミエミエっぽいもん。
それに比べて冬悟さんは―――(以下略)

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