私達は結婚したのでもう手遅れです!
「俺のことはどうでもいいのかよ」

「そんなこと言ってないでしょ!」

百花が竜江さんに怒っていた。
そうだよ。
百花は竜江さんと温泉旅行に行くなんて一言も言ってない。

「俺に水無月をくれ」

「なに言ってるのよ。竜江は甘いものが嫌いでしょ? 」

「きっと俺に邪気がついてるんだ!だから、うまくいかない!」

「竜江の存在が邪気よ」

百花はそう言いながら、菓子皿に水無月をのせた。
それを黙って食べる竜江さんを私と百花は眺めた。

「お姉ちゃん、ありがとう。温泉旅行に行きたいときは店番お願いしていい?」

「もちろんいいよ!」

やっぱり彼氏と温泉旅行に行きたいよね。
嬉しくなってうなずいた。
私は百花の恋がうまくいくことを祈ってる。
きっと素敵な人なんだろうなって思うから。
水無月を苦しそうに食べている竜江さんに心の中で『ごめんなさい、協力してあげれなくて』と思っていた。
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