私達は結婚したのでもう手遅れです!
仙崎さんはそこにいるだけで、存在感がある。
車の後部座席に私と冬悟さんが乗った。

「仙崎さんっていつも落ち着いてますよね。恋人とかいらっしゃらないんですか?」

「いますよ」

「やっぱり!」

「おーい。仙崎さんは特別かよ。俺の時とずいぶん差があるな」

竜江さんが助手席から恨めしい顔を私に向けていたけど、みてみぬふりをした。

「どんな方なんですか」

「そうですね。歳はけっこういってますが、その分、落ち着いていて疲れた自分を癒してくれる存在です」

やっぱり!
私の読みは当たっていた!
きっと昔からの付き合いで小料理屋の女将とかなんだろうな。
着物が似合う落ち着いた美人。
間違いない。

「素敵ですね」

「はい」

さすが仙崎さん。
お相手もとても素敵な方なんだろうな。

「サービスエリアに寄るんだったな」

冬悟さんがしおりを見ながら言った。

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