私達は結婚したのでもう手遅れです!
好きと言われても現実味がなさすぎて頭に入ってこなかった。
夢じゃないのかな……
ぎゅむっと頬をつねってみたけど、すごく痛かった。
夢ではなかった。

「私でいいんですか?そのっ、冬悟さんにはもっと素敵な女性がいらっしゃるかと……」

胸は小さくて幼児体型だし、地味だし、ずば抜けてなにかができるわけでもない。
自分で言ってて悲しくなるけど、これが現実。
冬悟さんの肩書きに見合っているとは思えなかった。

「私のことが嫌いですか?」

「まさかっ!冬悟さんが嫌いな女性がいるっていうなら、この目で見てみたいくらいですっ!」

すっと両手を握られた。

「好きか嫌いか、聞かせてください」

「好きです……」

声が震えた。
好きに決まってる。
憧れていたし、いつもお店にくるのを楽しみにしていた。
お店の手伝いしかなかった私の毎日。
< 35 / 386 >

この作品をシェア

pagetop