私達は結婚したのでもう手遅れです!
「仙崎さんの恋人へのお土産ですか?」

つい聞いてしまった。
仙崎さんは照れたように笑った。
わ、笑ったっー!
これは珍しいですよ。
仁王像が笑顔になるくらい珍しい。

「恋人にお土産を選んでいました」

「やっぱりっ!」

一体、どんな素敵なお土産を?
二人で飲む地酒?
それとも、ペアグラス?
きっと大人っぽいものに違いない。
ドキドキしながら、仙崎さんの手にした物を見た。

「……え?」

恋人へのお土産。
仙崎さんの手にあったのは地元名産の煮干しだった―――
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