私達は結婚したのでもう手遅れです!
「お前がそんなふうに思える女は貴重だな。大事にしろよ」

「俺は大事にしてますよ!むこうが俺を大事にしてくれないんですよ」

かなり気の強い女らしい。
まあ、そういうこともあるだろう。

「お前と仙崎の部屋はちゃんととってある。お前達ものんびりしろ」

竜江は『なにが悲しくて強面なオッサンと二人で高級旅館に泊まらないといけないんだ』と言っていたが、俺はついてこいとは一言も言ってない。
仙崎が当たり前のように護衛としてついてくると言って、なぜか竜江までオマケでついてきたくらいの感覚だ。
女がいるなら、そいつと旅行でも行けばいいのに相手にされないから、こっちにきたのだろう。
なかなか手強そうな相手だな。
今度、どんな女なのかきいてみよう。

「冬悟さん!見てください。浴衣です」

部屋の中にあった温泉旅館ならではの浴衣。
羽花は感動し、何度も俺に見せていた。

< 354 / 386 >

この作品をシェア

pagetop