私達は結婚したのでもう手遅れです!
「すごく可愛いですよね。こういうの着るの憧れでした」

「そうだな」

ピンクの花がついた可愛らしい浴衣だった。
浴衣の次は部屋の中らしく、落ち着きなく歩き回っていた。

「部屋からの眺めがいいですね。山から流れてくる川の音が風情あって素敵です」

窓を開けて川を眺める羽花。
わぁーと眺めを楽しみ、それから部屋風呂の露天風呂のお湯にさわって熱いとか、これが温泉の醍醐味と、はしゃいでいた。
それを眺めながら、部屋係から案内を聞き、かしこまった挨拶は断り出ていってもらった。
羽花はしばらく部屋の中を堪能しているだろうからな。

「あっ!ごめんなさい。私、大騒ぎしてしまって」

「いや、いい」

やっと落ち着いたのか、座布団の上にちょこんと羽花が正座した。
次は何に感動するのだろうと思っていると、温泉の茶菓子に感動していた。

「これが温泉のお茶菓子……」

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