私達は結婚したのでもう手遅れです!
抹茶が用意され、菓子皿には梅酒の味が微かにする白あん入りの水まんじゅうが置かれていた。

「甘いですけど、お抹茶と食べるとよく合いますね」

「そうだな」

シーンとした部屋に川の音が聴こえてくる。
それくらい羽花はお茶菓子を食べる時は真剣だった。
羽花はゆっくりとお茶菓子を食べ終わると、俺に言った。

「あ、あの……私っ……温泉に、入ってもいいですか?」

「もう?」

「もしかして、冬悟さんは後から入りますか?」

抹茶を吹き出しそうになった。
これは一緒に入るということか?
いや、確かにそれは期待していたが―――

「まだ早くないか?」

「早くないです!私、限界まで挑戦しますから!いろいろなお風呂があるんですよ?」

「は?」

「それじゃあ、冬悟さんは部屋でのんびりしていてください。私はさっそく大浴場にいってきますね!大きいお風呂に入りたかったんです」

そういう意味かよ。
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